3.文書で戦うことにした日|育休復帰トラブルのリアルなやり取り

育休復帰

このまま流されるのだけは、避けたかった。

感情でぶつかるんじゃなくて、

ちゃんと“形に残る方法”で向き合おう。

そう思って、私は文書で返すことにしました。

最初の一手

何度も書き直しました。

強すぎてもいけない。

でも、曖昧にしたら意味がない。

言葉を選びながら、

自分の状況と意思を、できるだけ正確に伝えることだけを考えました。

【私からの回答文書】

復職にあたっての勤務条件について、ご連絡いただきありがとうございます。

ご提示いただいた内容につきまして確認いたしましたが、育児に伴う事情により、現時点において早出および遅出勤務への対応は困難な状況です。

保育施設の利用時間や家庭の事情から、勤務可能時間には一定の制約がございますため、可能な範囲での勤務形態にて就業継続を希望しております。

つきましては、現実的な勤務形態についてご相談させていただけますと幸いです。

何卒よろしくお願いいたします。

印刷ボタンを押す指が、少しだけ震えていました。

これで何かが変わるのか。

それとも、もっと状況が悪くなるのか。

正直、分かりませんでした。

返ってきたのは、変わらない答え

数日後、会社から返信が届きました。

開く前から、なんとなく分かっていました。

きっと、簡単にはいかない。

【会社からの回答】

ご事情については理解しておりますが、当法人においては、早出および遅出を含めたシフト対応が基本となっております。

特定の時間帯に限定した勤務形態につきましては、他職員との公平性および業務運営の観点から、個別に認めることは難しい状況です。

なお、対応が難しい場合には、雇用形態についてご相談させていただく可能性がございます。

やっぱり、変わらない。

「理解している」と言いながら、

結論は最初の文書と同じでした。

“公平性”という言葉

この時、強く引っかかったのが「公平性」という言葉でした。

確かに、全員が同じ条件で働くことは大切です。

でも、

そもそも前提が違う場合でも、それは“同じ”であるべきなのか。

育児という制約がある中で、

同じ働き方を求められることが、本当に公平なのか。

今までそれなりに配慮されて来た先輩達はこれでいいと思ってるのか。

考えれば考えるほど、答えは見えなくなっていきました。

それでも、終わらせなかった理由

正直、この時点で諦めることもできたと思います。

「そういう会社なんだ」と受け入れて、

退職する選択もあったはずです。

でも、どうしても引っかかるものがありました。

——このまま終わらせたら、きっと同じことが繰り返される。

後輩のUちゃんは?今妊活している同僚は?

なんとか会社のおじさん達に分かってもらわなければ…

そう思ったんです。

電話で相談してみた結果

文書だけでは埒があかない気がして、

一度、上司に直接電話をすることにしました。

本当は少し怖かったです。

でも、文字だけでは伝わらないこともあると思ったんです。

電話が繋がって、

これまでの状況を改めて説明しました。

子どもの送り迎えのこと。

早出や遅出が現実的に難しいこと。

できる範囲で働き続けたいという気持ちも、

できるだけ丁寧に伝えました。

少しの沈黙のあと、返ってきたのは——

「それは分かるけど、みんな同じ条件でやってるからね」

一瞬、言葉が出ませんでした。

“同じ条件”という言葉が、

まるで前提を全部なかったことにするように聞こえたんです。

さらに続けて、こう言われました。

「その条件が無理なら、パートになれば希望聞いてあげられると思うよ」

頭では理解しようとしました。

でも、どこかで分かってしまったんです。

これは“相談”じゃなくて、

すでに答えが決まっている話なんだと。

電話を切ったあと、

しばらくその場から動けませんでした。

期待していなかったつもりなのに、

どこかで“分かってもらえるかもしれない”と思っていたんだと思います。

それでも、終わらせなかった理由

正直、この時が一番きつかったです。

でも同時に、

ひとつだけはっきりしたことがありました。

——このまま曖昧にしたら、全部流される。

だから私は、

もう一度、文書で向き合うことにしました。

もう一歩、踏み込んだ文書で返すことにしました。

今度は少しだけ踏み込んで、

曖昧な部分をそのままにしないように。

相手の言葉を、そのまま受け取るんじゃなくて、

ちゃんと“意味”を問い直すために。

この時から、やり取りは少しずつ変わっていきました。

そして同時に、

私の中の意識も変わり始めていました。

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